都バス渋滞検知プロジェクト

プロジェクト概要

 交通渋滞による東京の経済損失は年間約4兆9千億円と言われています。また、渋滞車両による排気ガスは、環境汚染を引き起こし、脱炭素社会実現の妨げにもなっています。本プロジェクトでは、都営バスのリアルタイム停留所発車時刻データと機械学習(AI)を組み合わせた新たな渋滞検知サービスを開発し、WEBサイトで渋滞情報を提供します。

渋滞検知WEBサービス(開発中)

 本プロジェクトで考案した手法を用いた渋滞検知WEBサービスを、2023年3月末までに公開予定です。渋滞検知の対象となる区間は、都営バス131系統が走行する1547停留所間で、既存の渋滞検知サービスではカバーしていない地元に密着したエリアまで検知を拡大します。

現在開発中の渋滞検知Webサービス画面 (都営バス池86系統の渋滞情報のみ表示)
※地図データはOpenStreetMapを使用

現在の進捗

1. 都バス運行データ収集

 2022年6月1日より、公共交通オープンデータセンターが提供するAPIから、都営バスの発車時刻データの収集を開始しました。データは30秒おきに取得しており、2022年12月27日現在、約1億6千万行(36GB)分のデータを取得しています。

実施スケジュール表
回数実施日調査対象の系統と区間
第1回2022年
6月25日
池86(池袋駅東口~渋谷駅東口)
草64(池袋駅東口~東武浅草駅前)
都02(錦糸町駅前~大塚駅前)
都08(東武浅草駅前~錦糸町駅前)
第2回2022年
8月2日
王78(野方駅南口〜新宿駅西口)
都01(新橋駅前~渋谷駅前)
都05-1(有楽町駅前~晴海三丁目)
都06(渋谷駅前~新橋駅前)
業10(築地三丁目~新橋)
第3回2022年
8月14日
梅01(青梅駅前~玉堂美術館循環~青梅駅前)
梅70(青梅駅前~花小金井駅北口)
梅74甲(青梅駅前~並木循環~青梅駅前)
梅77甲(青梅駅前~河辺駅北口)
梅77乙(青梅駅前~駒木町循環~青梅駅前)
梅77丁(青梅駅前~河辺駅南口)

2. 都バス運行特性調査

 都営バス一日乗車券を利用し、実際に都営バスに乗車することで、運行特性の調査を行いました。調査は3日間行い(詳細は左表参照)、この調査により下記の事項が判明しました。

  • 都営バスは、定刻より早く運行している場合、停留所で時間調整を行う。電子スターフ(運行指示書)が導入されている車両では、運転手が全停留所の定刻ダイヤを確認できるため、各停留所での時間調整が可能である。一方、電子スターフ非導入の車両では、一部の主要な停留所のみの定刻ダイヤが記載された紙スターフが導入されている。その場合は、紙スターフに書かれた一部の停留所でのみ時間調整が行われる。また、電子スターフ導入車両であっても、系統や運転手により、各停留所で時間調整が行われない場合もある。
  • 路線の車線数が少ないほど、渋滞によりバスのダイヤが大きく影響を受ける。特に、片側1車線の道路では、渋滞とバスの遅延に強い相関がある。
  • 多摩エリアの一部では、バスの運行本数や、沿線の交通量が極端に少ない路線が存在する。

3. 警視庁交通管制センター訪問

 日本道路交通情報センター(JARTIC)に渋滞情報を提供している、警視庁交通管制センター(東京都港区)を見学しました。既存の渋滞情報サービスの提供方法や問題点などを教えて頂き、渋滞検知WEBサービスの開発に役立つ様々な知見を得ることができました。

4. 既存渋滞システム精度調査

 渋滞発生箇所に実際に行き、既存の渋滞情報サービスの予測結果と見比べることで、既存サービスがどの程度の精度で検知を出来ているかを調査しました。また、この調査結果を参考に、AIの学習に必要な正解データの選定も行いました。

研究成果

 本プロジェクトで開発した渋滞検知手法は、学会を通して外部に公開し、第三者への技術移転を目指します(カーナビやスマホアプリによるルート検索の精度向上に貢献します)。

発表済み
・2022年2月27日 ~ 3月2日 DEIM2022 第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム (発表論文)

発表予定
・2023年3月2日 ~ 3月4日 情報処理学会 第85回全国大会
・2023年3月5日 ~ 3月9日 DEIM2023 第15回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム

リンク


 都バス渋滞検知プロジェクトは、令和4年度「東京都と大学との共同事業」として東京都政策企画局から交付を受けて実施した「都営バスのリアルタイム運行データを用いた渋滞検知サービス」における成果の一部です。